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薬剤師 勉強 やり直し

「何から手をつければいいか分からない」
「新人より知らないと思われたらどうしよう」
と昔の教科書を開いたまま手が止まっていませんか?

ブランク明けの薬剤師の勉強のやり直しは、一から全部やり直す必要はありません。
「職場でよく出る処方薬」
「制度と調剤報酬の変更点」
「処方確認と薬の説明の基本の型」
の3つに絞れば、復職の準備は十分に進められます。

厚生労働省の資料でも、業態を変えて復職した薬剤師の5〜6割が、その理由に知識不足への不安を挙げています。
手が止まる原因は能力ではなく、学ぶ範囲が決まっていないことにあります。



この記事では、ブランクの年数と戻る職場から自分のスタート地点がわかる早見表と「ここまでできたら応募してよい」と判断できる十分ラインのチェックリストを用意しました。
1日30分で進める学習の組み立て方も具体的に解説するので、今夜から始められます。

薬剤師の勉強のやり直しは「この3つ」だけでいい

薬剤師の勉強のやり直し 必要ない

薬剤師のやり直しの勉強は、
①職場でよく出る処方薬
②制度と調剤報酬の変更点
③疑義照会(処方医への問い合わせ)と服薬指導(患者さんへの薬の説明)の基本の型

の3つに絞れます。

どれも復職初日から使う知識で、ブランク中に変化した部分を含む点が共通点です。
それぞれ何から手をつけ、どこまで押さえればいいかを順に解説します。

①職場でよく出る処方薬

最初に学び直すのは、戻る職場でよく出る処方薬です。
全領域の新薬を追うより、毎日手に取る薬を固めるほうが復職初日から役に立ちます。

調剤薬局なら、門前(薬局の近くにあり、処方箋の多くを受け付けている医療機関)の診療科で範囲が決まります。

内科なら降圧薬・糖尿病治療薬・脂質異常症治療薬、
整形外科なら鎮痛薬と湿布薬
が中心です。
応募先が決まっていれば、求人票や薬局のホームページで門前の診療科を確認してください。
薬ごとに効能・用法用量・主な副作用・相互作用を1〜2行でまとめると、復習しやすくなります。
新薬は頻出薬を押さえたあと、同じ薬効群から足していけば十分です。

②制度と調剤報酬の変更点

2つ目は、ブランク中に変わった制度と調剤報酬(薬局の業務に対して支払われる報酬)の確認です。

ここは暗記するのではなく、厚生労働省の資料で「今どうなっているか」を確かめる対象と考えてください。
調剤報酬は2年ごとに改定されるため、離職した年から何回の改定をまたいだかで確認する量が変わります。

直近の大きな変化は、令和8年6月から適用された令和8年度改定です。
2016年度に導入された「かかりつけ薬剤師指導料」と「かかりつけ薬剤師包括管理料」が廃止され、服薬管理指導料(薬の説明や管理に対する基本の点数)に統合されました。
重複投薬・相互作用等防止加算も今回の改定で廃止されており、離職前の感覚で算定すると誤りにつながります。
厚生労働省の改定ページと疑義解釈(算定ルールの疑問に答えるQ&A)で、要点を確認しましょう。

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」
出典:薬事日報「かかりつけ薬剤師とは?2026年度改定の変更点や”いらない”といわれる背景を解説」

③疑義照会と服薬指導の基本の型

3つ目は、疑義照会と服薬指導の「基本の型」を思い出すことです。
個々の薬の知識は、この型の上に積み上げると定着しやすくなります。

処方監査(処方箋の内容が適切かを確かめる作業)で見る項目は、次の5つに整理できます。

  1. 用法・用量
  2. 重複投与
  3. 相互作用
  4. 禁忌
  5. 年齢・腎機能などの患者背景



服薬指導では、2020年9月施行の改正薬機法(医薬品の品質や安全性を定めた法律)によって、薬を渡したあとも服用状況を確認する「服薬フォローアップ」が義務になりました。
説明して終わりではなく、渡したあとの確認まで含めて型を組み直すことが大切です。
ブランク前に身につけた手順に、確認の工程を1つ足すと考えれば負担は大きくありません。

薬剤師が勉強を「一から全部」やり直す必要はない

薬剤師の勉強で、一から全部やり直さなくていい理由は3つあります。

  1. ・薬理(薬が効くしくみ)
    ・病態(病気が起こるしくみ)
    の土台は残っていること。
  2. 「全部」と考えると手が止まること
  3. 基礎はつまずいた所だけ戻れば足りる

それぞれの理由を、学び直しの進め方とあわせて解説します。

①薬理・病態の土台は残っている

ブランクがあっても、薬理・病態の土台はゼロに戻っていません。
一度学んだ内容は、初めて学ぶときより短い時間で学び直せます。

現場を一度離れて戻る薬剤師は、少数派ではありません。
厚生労働省の統計では、2024年末時点の届出薬剤師329,045人のうち女性が203,979人で、全体の62.0%を占めています。
出産や育児をはさんで現場に戻ろうとしている薬剤師は、あなただけではありません。

出典:厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の結果を公表します」

②「全部」と考えるから手が止まる

薬剤師の勉強のやり直しで手が止まる原因は、多くの場合「範囲が決まっていないこと」にあります。
範囲が見えないまま始めると終わりが見えず、取りかかること自体が重くなります。
昔の教科書を最初のページから読み直そうとして数日で止まるのは、その典型です。

範囲を決めると、同じ30分でも進み具合がはっきり見えます。
「今週は門前の内科でよく出る降圧薬を10種類」のように、対象と量を具体的に区切るのがコツです。
終わりが見える課題は、家事や育児の合間にも取りかかりやすくなります。
全部を対象にしないのは手抜きではなく、限られた時間で戻るための戦略です。

③基礎は「つまずいた所だけ」戻ればいい

薬理・病態の基礎は、全部を読み直す必要はありません。
よく出る薬を学び直す途中でつまずいた箇所だけ、基礎までさかのぼれば十分です。

たとえばSGLT2阻害薬(尿から糖を出して血糖を下げる糖尿病治療薬)の作用で迷ったら、腎臓で糖が再吸収されるしくみだけを確認します。



この方法の利点は、基礎の学び直しが今の仕事で使う知識と直結することです。
分からなかった箇所は付箋やメモに残し、週末にまとめて見直すと定着しやすくなります。
図解の多い薬理書を1冊手元に置き、辞書のように引く使い方が向いています。
教科書の通読は、時間に余裕ができてからで遅くありません。

薬剤師の勉強のやり直しは「ブランクと戻る職場」で範囲が決まる

薬剤師の勉強のやり直し 範囲

学び直す範囲は、ブランクの長さ、離職前の経験、戻る業態の3つの組み合わせで決まるのが基本です。
早見表で自分のスタート地点を確認し、ブランク中の変化を書き出せば、やるべきことが具体的な項目になります。
戻る業態と診療科を先に決め、転職エージェントで職場のイメージを固めると、範囲はさらに絞れます。

状況別のスタート地点早見表

自分がどこから学び直せばいいかは、次の表で目安をつかめます。
ブランクの年数だけでなく、離職前の経験年数と戻る業態をあわせて見るのがポイントです。
区切りの根拠は、調剤報酬の改定周期と、離職前に積んだ実務経験の量の2点です。

あなたの状況| 始める場所 重点
ブランク2年未満
・同じ業態に戻る
② 制度の変更点 直近の改定の要点
ブランク2〜5年・
同じ業態に戻る
①よく出る処方薬 頻出薬と改定2〜3回分
ブランク5年以上、
または離職前の経験3年未満
③基本の型+① 型の再確認、
頻出薬、つまずいた基礎
業態を変えて戻る 戻る業態の業務 病院なら注射薬、
ドラッグストアならOTC医薬品


表にあるOTC医薬品とは、処方箋なしで購入できる市販薬のことです。
表は出発点の目安なので、途中でつまずいた分野があればその都度基礎に戻って調整します。
ブランクが短くても業態を変える場合は、表の最下段を優先してください。
どの段から始めても、最終的に目指すのは後の章で紹介する「十分ライン」です。

ブランク中に変わったことを書き出す

範囲を決める前に、ブランク中に変わったことを紙に書き出してください。
書き出すと「知らないこと」が具体的な項目に変わり、漠然とした不安が作業リストになります。
離職した年を起点に、その後の調剤報酬改定の回数を数えるところから始めると整理しやすくなります。

  • 調剤報酬改定の回数と主な変更点
  • リフィル処方箋(一定期間、同じ処方箋をくり返し使える仕組み)
  • 電子処方箋(紙ではなく電子データでやり取りする処方箋)
  • マイナ保険証(マイナンバーカードを健康保険証として使う仕組み)
  • 適応が広がった薬(例:SGLT2阻害薬の心不全・慢性腎臓病への使用)



項目ごとに
「名前を知っている」
「人に説明できる」
の2段階で印を付けると、優先順位が一目で分かります。

名前しか知らない項目が、学び直しの最優先候補です。
勉強が進むたびに印を更新すれば、進み具合も確認できます。

戻る業態と診療科を先に決める

学ぶ範囲を最も大きく左右するのは、戻る業態と診療科です。
応募先が未定でも「調剤薬局の内科門前」のように方向性を決めるだけで、勉強の対象は大きく絞れます。
業態によって必要な知識は異なり、病院なら注射薬や病棟業務、ドラッグストアならOTC医薬品の知識が加わります。

業態を変えて戻る場合は、学ぶ範囲が増える前提で計画を立ててください。
厚生労働省の検討会資料によると、離職後に業態を変えて復職した薬剤師が、変更理由として知識不足への不安を挙げた割合は、病院から薬局・ドラッグストアへ移った人で62.6%、その逆で54.3%でした。
知識への不安が、戻る場所の選び方まで左右している実態がうかがえます。
同じ業態に戻るか変えるかを先に決めれば、必要な準備量も見積もりやすくなります。

出典:厚生労働省「第12回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会 資料2 検討会のとりまとめへの対応状況等(薬剤師確保・卒後臨床研修)」

転職エージェントに相談して戻る職場のイメージを固める

ブランク明けの勉強のやり直しは、転職エージェントに相談して戻る職場のイメージを固めてから始めると効率が上がります。
働く業態や門前の診療科が分かれば、学び直す薬の範囲を最初から絞り込めるからです。
もちろん、転職エージェントに相談したからと言って、すぐに点sh獄しなければいけないことはありません。

転職エージェントとは、求人の紹介や応募先との条件調整を行う人材紹介サービスのことで、求職者は無料で利用できるのが一般的です。
相談の際は、次の点を聞いておくと勉強の計画に直結します。

  • 門前の診療科と、よく出る処方の傾向
  • 1日の処方箋枚数と薬剤師の人数
  • 復職者向けの研修やOJT(働きながら先輩に教わる指導)の有無
  • ブランク明けの薬剤師を受け入れた実績



研修が手厚い職場なら、復職前の勉強は十分ラインまでにとどめ、残りは入職後に任せられます。
反対に即戦力を求める職場なら、①〜③の準備に時間を多めに配分してください。
相談したからといって応募する義務はないため、紹介された求人の条件は自分でも確かめたうえで判断しましょう。

当サイトおすすめ薬剤師転職エージェント

薬剤師の勉強のやり直しは「ここまで」できれば十分

薬剤師の勉強のやり直し

復職前の勉強に「十分ライン」を設けると、終わりの見えない準備から抜け出せます。
チェックリストを満たしたら応募に進み、システムの操作などは入職後に覚えれば問題ありません。
勉強と応募を並行させる進め方もあわせて紹介します。

復職前の「十分ライン」チェックリスト

次の5項目にチェックが付けば、復職前の勉強としては十分です。
残りは働きながら身につける前提で、応募に進んでください。
判定の基準は「完璧に覚えた」ではなく、「説明できる」「調べられる」かどうかです。

  • 門前の診療科でよく出る薬20〜30種類の効能と主な副作用を説明できる
  • 直近の調剤報酬改定の主な変更点を3つ挙げられる
  • リフィル処方箋・電子処方箋・マイナ保険証の受付の流れを説明できる
  • 処方監査で確認する5項目を言える
  • 電子添文(電子化された医薬品の添付文書)を調べる手段が決まっている



20〜30種類は、門前の頻出薬をひととおり確認できる量の目安です。
現場では、知らないことを正しく調べて確認できる人が信頼を得ます。
全項目にチェックが付いた時点で、自分に「戻ってよい」と許可を出してください。

入職後に覚えればいいこと

レセコン(調剤報酬を請求するためのコンピューター)や電子薬歴(患者さんの服薬記録を管理するシステム)の操作は、入職後に覚えれば問題ありません。
分包機の使い方や店舗ごとのルールも同じです。
これらは職場ごとに機種や運用が違うため、経験者でも転職のたびに覚え直す領域です。

事前に本で学んでも、実際の画面や機械に触れなければ身につきにくい分野でもあります。
復職前の時間は、①〜③の知識と十分ラインの確認に回してください。
入職時は操作を教わる前提で、疑問点をメモしておけば十分です。
初日の挨拶で「操作は覚え直しです」と一言添えておくと、周囲も教える前提で接しやすくなります。

勉強と応募は並行していい

勉強が終わるのを待たず、応募は並行して進めてかまいません。
準備期間に期限を決めないと、「まだ足りない」と感じるたびに応募が先延ばしになります。
目安として、準備は3か月程度で区切り、最初の1か月で転職エージェントへの相談と職場の絞り込み、2か月目から応募を始めると無理がありません。

応募先が決まれば門前の診療科がわかり、勉強の範囲はさらに絞れます。
面接では「直近の改定の要点を確認し、門前の診療科の頻出薬を整理しています」のように、取り組みを具体的に伝えてください。
学び直しの内容が具体的だと、採用側は入職後の教育にかかる期間を見積もりやすくなります。
勉強と応募は、並行させることで互いを前に進める関係です。

1日30分と教材3つで薬剤師の勉強はやり直せる

薬剤師 勉強 やり直し 毎日30分

時間が限られていても、教材を3分野に絞り、1週間単位で計画を組めば学び直しは進みます。
eラーニング(インターネットで受講する研修)は足りない分野の補強に使い、できない日は週単位で取り戻すのが基本です。
育児や家事と両立しながら続けるための、具体的な組み立て方を紹介します。

教材は3分野で1つずつ

教材は
「医薬品集」
「調剤報酬改定の解説書」
「服薬指導の本」

の3分野で、1つずつ用意すれば足ります。
教材が増えるほど、どれから手をつけるか迷う時間が増えるためです。
3つに絞れば、勉強の時間をそのまま中身に使えます。

医薬品集は、ブランク中の新薬が載っている最新版を選んでください。
改定の解説書は、奥付(本の最後にある発行日などの記載)で最新の改定に対応しているかを確認します。
服薬指導の本は、疾患別に説明例が載っているものが型を思い出す練習に向いています。
元の古い教科書は、基礎をさかのぼるときの辞書として残しておけば十分です。

1週間の組み立て例

1日30分なら、平日5日で週150分の勉強時間を確保できます。
曜日ごとに分野を固定しておくと、「今日は何をやるか」を考えずに始められます。
組み立ての一例は次のとおりです。

  • 月・火:よく出る処方薬(1日5種類)
  • 水:調剤報酬改定の要点
  • 木:疑義照会・服薬指導の型
  • 金:その週につまずいた基礎の確認



時間帯は、子供が寝たあとや家族が起きる前など、毎日確実に空く枠に固定するのがコツです。
週末は予備日として空けておくと、平日にできなかった分を取り戻せます。
1日5種類のペースなら、門前の頻出薬20〜30種類は3週間ほどで一巡します。

eラーニングは足りない分野だけ使う

薬剤師 勉強やり直し アプリ

eラーニングは、全講座を受けるより、足りない分野に絞って使うのが効率的です。
動画は通勤中や家事の合間にも視聴できるため、書籍で手が回らない分野の補強に向いています。
たとえば改定の解説は、文章より図表つきの講義のほうが全体像をつかみやすい分野です。

講座によっては、研修認定薬剤師(日本薬剤師研修センターが、研修で一定の単位を取得した薬剤師を認定する制度)の単位にもなります。
ただし、eラーニングで算入できる単位は1日4単位までという上限があります。
受講前に、研修センターに登録された実施機関の講座かどうかを確かめてください。
勤務先が法人契約で費用を負担している場合もあるため、入職後に確認してから申し込む方法もあります。

出典:日本薬剤師研修センター「研修認定薬剤師の更新申請手続きについて」(

できない日は週単位で取り戻す

勉強できない日があっても、週単位で帳尻が合えば問題ありません。
毎日続けることより、1週間で予定した範囲を終えることを目標にしてください。
子供の発熱や学校行事で予定が崩れるのは、育児と両立していれば避けられない出来事です。

崩れた日を「ゼロの日」にしないために、医薬品集を1ページ開く、アプリで1薬だけ調べるといった最小単位の行動を決めておきましょう。
少しでも手をつけた日は、翌日の再開が軽くなります。
週末の予備日でも取り戻せなかった分は、翌週に上乗せせず範囲を減らして調整するのが現実的です。
崩れても戻れる計画のほうが、完璧な計画より長く続きます。

薬剤師の勉強のやり直しは一人で抱えないほうが早い

分からないことを一人で抱え込むと、学び直しは遠回りになります。
職場での聞き方と患者さんに即答できないときの返し方を押さえれば、知識の不足は現場で埋めていけます。
独学に不安がある場合は、薬剤師会や大学病院の復職支援研修も選択肢です。

分からないことは聞いていい

復職後に分からないことがあれば、遠慮せずに聞いてかまいません。
現場で避けたいのは「知らないこと」より、確認しないまま進めて調剤過誤(薬の取り違えなどの誤り)につながることです。
確認すべき場面で確認できる人は、ブランクの有無に関係なく信頼されます。

聞くときは、何を調べて、どこで止まったかを添えると相手の負担が減ります。
「電子添文で腎機能低下時の減量の記載は確認しましたが、この患者さんのクレアチニンクリアランス(腎臓の働きを示す値)で当てはめてよいか見ていただけませんか?」
と伝えれば、短時間で答えをもらえます。
忙しい時間帯を避け、疑問をまとめて聞くのも一つの方法です。
聞いた内容をメモに残し、同じ質問をくり返さない工夫が信頼につながります。

患者さんに即答できないときの返し方

患者さんの質問に即答できないときは、
「お調べして次回お答えします」
と伝え、その日のうちに調べれば信頼を保てます。
あいまいな答えでその場をしのぐより、確かな情報を後で伝えるほうが患者さんの安全につながるためです。
答えたあとに「私も勉強になりました」と一言添えると、患者さんも次から相談しやすくなります。

Yahoo!知恵袋には、調剤薬局で働く5年目の薬剤師が、患者さんの質問にほとんど即答できないと相談した投稿があり、1.7万回以上閲覧されています。
ベテラン薬剤師の回答は、答えられなかった質問をその日のうちに自分で調べて記録し、積み重ねることを勧めていました。
「調べましょうか」と聞くと患者さんが遠慮しやすいため、調べる時間をもらうと言い切る返し方も紹介されています。
ブランク明けでも現役でも、即答できない場面は誰にでも起こるものです。

出典:Yahoo!知恵袋「皆さんどうやって勉強しているんですか?調剤薬局で働く薬剤師です。」

薬剤師会や大学病院の復職支援研修を使う

一人での勉強に不安があるなら、薬剤師会や大学病院が行う復職支援研修を使う方法があります。
実際の調剤室で業務に触れながら勘を取り戻せる点が、独学との大きな違いです。
復職前に一度白衣を着て現場に立っておくと、心理的なハードルも下がります。

たとえば大分大学医学部附属病院の薬剤部は、ブランクのある薬剤師向けの復職支援プログラムを設け、内容や期間、時間を担当者と相談して決められるとしています。
信州大学医学部附属病院も同様のプログラムを募集しており、勤務期間は3か月からと案内しています。
都道府県の薬剤師会でも復職支援の研修を行っている地域があるため、お住まいの県の薬剤師会のサイトを確認してください。
費用や形式は実施元によって異なるので、申し込む前に条件を比べましょう。

出典:大分大学医学部附属病院薬剤部「薬剤師復職支援プログラム」
出典:信州大学医学部附属病院「薬剤師復職支援プログラム募集要項」

現役薬剤師の勉強のやり直しも今からで遅くない

薬剤師の勉強のやり直し

現役で基礎の抜けが気になる場合も、学び直しは日々の業務から始められます。
答えられなかった質問を起点にし、診療科ごとに自分の資料をつくるのが近道です。
同じ悩みを抱える薬剤師が多いことも、現場の声から紹介します。

答えられなかった質問から学び直す

現役薬剤師の学び直しは、患者さんや医師に答えられなかった質問を起点にするのが効率的です。
実際に聞かれた内容は、同じ門前の患者さんから再び聞かれる可能性が高いためです。
教科書を頭から読み直すより業務と直結するため、知識が定着しやすくなります。

答えに詰まった質問はその場でメモし、当日中に電子添文や診療ガイドラインで調べて記録します。
電子添文は最新の改訂が反映される公式情報なので、調べる先として最適です。
週に1つ調べるだけでも、1年で約50の「自分の言葉で説明できる知識」が増えます。
小さな積み重ねが、数年後の知識量の差になります。

診療科ごとに自分の資料をつくる

調べた内容は、診療科ごとに1冊のノート(または1つのファイル)にまとめると、自分専用の参考書になります。
同じ質問に再び出会ったとき、すぐに答えを確認できるからです。
続けるほど、自分の門前に合った資料に育っていきます。

記録する項目は「質問」「答え」「根拠」「調べた日」の4つで十分です。
調べた日を残しておくと、改訂や新しいガイドラインが出たときに見直す対象がすぐに分かります。
紙のノートでもスマートフォンのメモでもかまいませんが、勤務中にすぐ開ける形を選んでください。
先ほどの知恵袋の投稿でも、28年目の薬剤師が診療科別の資料を作って持ち歩き、足りない点を書き足していると回答していました。

「今さら聞けない」は多くの薬剤師が抱えている

経験年数を重ねても、知識の抜けに悩むのは珍しいことではありません。
5年目、10年目で答えに詰まる自分を、必要以上に責める必要はないのです。
気づいた時点で学び直しを始めた人から、知識の差は縮まっていきます。

薬事日報のコラムでも、臨床に出てから基礎の大切さに気づき、今になって必死に勉強し直している現場の薬剤師の声が紹介されています。
後輩の手前で聞きにくい場合は、前の項目で紹介した「答えられなかった質問の記録」を一人で進めれば、周囲に知られずに抜けを埋められます。
年数より、今日から1つ調べるかどうかが1年後の知識量を分ける要因です。

出典:薬事日報「臨床から基礎学問へ」

薬剤師の勉強のやり直しでよくある不安も解消できる

ブランクの長さ、年齢、研修認定薬剤師、国試の勉強について、よくある疑問に答えます。
どの疑問も、学び直しの範囲と順番が決まれば多くは解消できます。気になる項目から読んでください。

ブランクが10年以上でもやり直せる?
ブランクが10年以上あっても、学び直しの進め方は同じです。
範囲を絞って十分ラインまで準備すれば、復職を目指せます。実際に、10年、20年のブランクを経て復職した薬剤師の例は、薬剤師向けの転職メディアでも紹介されています。
「ブランクは2年まで」という目安は、調剤報酬の改定周期から来たもので、法律上の制限ではありません。
10年を超えると改定を5回ほどまたぐため、②の制度の確認と③の基本の型に時間を多めに配分してください。
復職支援研修や、教育体制のある職場を選ぶと、立ち上がりの負担を抑えられます。
40代・50代からでも間に合う?
40代・50代からでも、学び直しは十分に間に合います。
結果を分けるのは年齢より、現在地を把握して順番どおりに進められるかどうかです。
年齢を重ねた分、患者さんの生活に寄り添った説明ができる点は強みになります。
参考記事:【ペーパー薬剤師50代】ブランク20年でも戻れる?求人票でわからない職場の見極め方
研修認定薬剤師は取り直すべき?
研修認定薬剤師は、復職の必須条件ではありません。取得を推奨・評価するかどうかは職場によって異なるため、入職先の方針を確認してから計画を立ててください。
復職前の限られた時間は、十分ラインの準備を優先するほうが現実的です。

ブランク前に認定を持っていた人は、更新期限を確認しておきましょう。日本薬剤師研修センターの研修認定薬剤師は、認定開始日から1年ごとに5単位以上、かつ3年間で30単位以上の取得が更新の条件です。条件を満たせないまま期限を過ぎた場合は、更新ではなく新規での申請に切り替わります。入職後にeラーニングなどで単位を集め、改めて新規申請を目指す流れが無理のない進め方です。

薬剤師の勉強のやり直しは「今夜の30分」から始めればいい

薬剤師の勉強のやり直しは、一から全部やり直す必要はありません。
よく出る処方薬、
制度と調剤報酬の変更点、
疑義照会と服薬指導の基本の型
の3つに絞れば、限られた時間でも現場に戻る準備を進められます。

この記事のポイントは次の4つです。

  • 学び直す範囲は、ブランクの長さと戻る職場で決まる
  • 十分ラインを満たしたら、勉強と応募を並行させる
  • 教材は3分野で1つずつ、1日30分を週単位で組み立てる
  • 分からないことは聞き、記録して積み重ねる



明日から30分だけ、ブランク中に変わったことを紙に書き出すことから始めてください。
書き出した項目が、そのまま明日からの勉強リストになります。
リストに印が増えていくほど、「戻っても大丈夫」という感覚は確かなものになります。